omartha’s diary

本のこと、映画のこと、お化粧品のこと、食べもののこと。わたしが好きなものを綴る緩い日記。

小説:きみはポラリス(三浦しをん)

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「どうして恋に落ちたとき、人はそれを恋だと分かるのだろう」そんな素敵な裏表紙の紹介説明に惹かれて、少し前の小説だけど購入。なんでもっと早くこの小説に出会えなかったんだろう、そう思うほど素敵な小説でした。

 

たくさんの片想いや両想いがこの本には溢れている。恋人、妻、同姓の友達、信仰、色んなものが恋の対象に。他の人には理解しがたい、だけど″主人公″だけは自分が恋してることを知っている。そう、恋する気持ちは誰にも邪魔されない尊いものなのだ。

そして、この小説のすごいとこは11個の短編小説から成っているのに、ひとつひとつのお話が濃いこと。自分が先に死んだあとのことを心配し、飼い主が恋人をつくることを暖かく見守るネコ。愛する恋人を守るため人を殺めながらも強く生きつづける男。亡くなってしまった先生を愛しつづけ、一生独身でいることを決めた女性。誘拐した男の思い出を胸に抱えながら生きる女性。それにプラントハンターの恋人や、ペーパークラフトが上手な探偵、愛し合う兄弟、具合も悪くないのに寝たきりのおばあちゃん。登場人物が本当に個性豊か。短編小説はお話が短いぶん、さらっとした仕上がりになっていることが多いけど、きみはポラリスは読み応えあり。

恋するものは尊く美しい、そんな気持ちにさせられる小説です。